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韓国語の会話でもよく使われる返事をするときの「はい(네)」という言葉。
ネイティブの「네」を聞いていると、ときどき「デ」に聞こえるときがありませんか?
なぜ「ㄴ」で表現される「네」が「ネ」ではなく「데」のような「デ」に聞こえるのか。
今回はその理由についてお伝えします。
韓国語の“はい” が「ネ」ではなく「デ」に聞こえる理由
「네」が「デ」に聞こえるのは何故か?重要なポイントとは、
ㄴとㄷは音を出すときの舌のスタート位置が同じ
です!
このポイントをおさえつつ、さらに詳しくお伝えしていきます。
★「ㄴ」は鼻音
まず「ㄴ」は「鼻音」と呼ばれる音です。
ほかに「ㅁ」と「ㅇ」が鼻音に当たります。
この鼻音という音は、発音をするときに鼻から空気を出しています。
普段から意識してやっているわけではないのでピンと来ないですよね?
そこで鼻から空気を出していることを実感するために、鼻をつまんで「마」や「나」を言ってみてください。
どうでしょうか? 普段より引っ掛かるような感じで音を出しづらく出た音も通常より濁っていませんか?
これは鼻をつまんだことにより、鼻から空気が出なくなったためです。
風邪などで鼻が詰まったときと同じ状態ですね。
逆に言えば、普段は鼻から空気を出しているということです。
それに対し、たとえば「바」や「다」を同じように鼻をつまんで言ってみてください。
どうでしょうか? 鼻をつまんでも音の出しやすさや音色に変化はないはずです。
これは鼻から空気を出さない音であるためです。
これがまず1つ目の「네」が「데」に聞こえる理由です。
★ㄴとㄷを発音するとき、舌のスタート位置は同じ
次は「ㄴ」と「ㄷ」の音を出すときの、舌のスタート位置に注目します。
まず、나や니など、ㄴに母音をつけて言おうとしてみてください。
そして音を出す寸前、言おうと準備したところで止めます。
どうですか? 舌が上の歯の裏についていますよね。
これがㄴを発音するときの舌のスタート位置です。
同じように、다や디など、ㄷに母音をつけて言おうとしてみてください。
どうですか? ㄴのときと同じように舌が上の歯の裏に来ませんか?
つまり、ㄴとㄷを発音するときの舌のスタート位置は同じなのです。
これが2つ目の理由です。
この2点から、「ㄴ」と「ㄷ」の発音については
- 鼻から空気を出しているかどうかだけの違い
- 舌の動きはまったく同じ
ということが分かります。
しかも鼻から空気を出すかどうかは意識的に行っているわけではありません。
つまり韓国人が「네」を「데」と言っているように聞こえても、本人は意識的に「데」と言っているわけではありません。
あくまでも「네」と発音していて、周囲の韓国人も「네」だと認識しています。
「데」と聞こえる理由は発音のクセかもしれませんし、もしかしたら鼻がつまっていただけかもしれません。
★鼻音化について
ちなみに、この「ㄴ」と「ㄷ」の関係が韓国語を勉強する上で悩むことの1つである鼻音化に関係しています。
「ㄷ」で発音するパッチム(ㄷ,ㅌ,ㅅ,ㅆ,ㅈ,ㅊ,ㅎ)は、後ろに鼻音の「ㄴ」もしくは「ㅁ」が来ると、「ㄴ」で発音されます。
例えば「있는데」の実際の発音は「인는데」となり、「거짓말」の発音は「거진말」となります。
これは意識して行わなければならないルールというわけではなく、むしろ舌が楽をした結果です。
「거짇말」と早く言おうとすると「거진말」のほうが楽ですよね?
「ㄹ」も「ㄷ」と舌の位置がほぼ同じです。
これにより「ㄴ」もしくは「ㅁ」が「ㄹ」の前に来ると鼻音化が起き、「ㄹ」は「ㄴ」と発音されます。
例えば「음료수」は「음뇨수」となります。
同様の関係が「ㅂ」で発音するパッチムと「ㅁ」、「ㄱ」で発音するパッチムと「ㅇ」でもいえます。
「ㅂ」で発音するパッチムは唇を閉じた状態から始まりますが、鼻音の「ㅁ」も同じです。
そのため「합니다」が「함니다」となるような鼻音化が起きます。
「ㄱ」で発音するパッチムは口を閉じずにのどから音を出しますが、鼻音「ㅇ」も同じです。
これにより「박물관」が「방물관」となるような鼻音化が起きます。
韓国語の“はい” がネじゃなくてデに聞こえるのはなぜ?まとめ
「네」が「데」だと聞こえる理由は、「ㄴ」と「ㄷ」を発音するときの舌のスタート位置が同じことにありました。
ここで注意したいのは、韓国人の「네」が「데」のように聞こえたとしても、本人は「네」と言っているということです。
そのためネイティブっぽく発音しようと思って「ネ(네)」ではなく「デ(데)」と意識的に言ってしまうと、伝わらない可能性があるので気をつけてくださいね。
あくまでも「네」は「네」です。
発音するときの口内の動きは、鼻音化以外の発音変化にもつながっています。
仕組みが分かると覚えやすく理解も深まりますよね。ぜひ鼻や舌、唇、のどに注目して発音してみてください。